前年のフラッグをもって、サバイバー仲間とともにウォーク |
9月28日・29日に行われた「リレー・フォー・ライフ川越」に、実行委員として、サバイバーとして参加いたしました。初めてだったので、みなさんのサポートが少しでもできたら、という気持ちでの参加でした。
このイベントは、 「がん患者さんやそのご家族を支援し、地域全体でがんと向き合い、がん征圧を目指す、1年を通じて取り組むチャリティ活動」。そして1年に1度、夜通し歩くことで、夜不安な思いをしているサバイバーに寄り添うというイベントです。
前日の27日夜にも集合して打ち合わせ&準備。
28日は朝から準備を開始。
私は13時サバイバーズトークの登壇、22時からの受付。
夜越えは参加しませんでしたが、翌朝7時からウォークへ。
正直言って、大変でしたが、川越の皆様と一緒に大きなイベントを実施でき、その一員になれたことがとても嬉しく、誇らしく感じました。
実行委員、サポーターのみなさま |
サバイバーズトークで話したこと
せっかくなので、ここに原稿の全文を載せます。
依頼されていた内容は、「早期発見と治療中つらかったこと」です。
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こんにちは。阿部と申します。
私の体験がどなたかのお役に立てればと思ってお話させていただきます。
私の体験がどなたかのお役に立てればと思ってお話させていただきます。
まず、サバイバー歴についてですが、2012年と2018年、2回乳がんに罹患しました。最初はちょうど36歳の誕生日を迎えたばかりのときで、診断されたのは「トリプルネガティブ乳がん」というタイプでした。ホルモン療法や分子標的薬が効かず、再発率も高いとされる悪性度の高いがんということで、手術、抗がん剤治療、放射線治療を受けました。
医師からは「トリプルネガティブは悪性度が高いが、5年経てば再発率が急激に下がる」と聞かされていたので、その5年間は検診のたびにドキドキして結果を待っていました。その5年を無事に乗り越え、6年目検診では少し安心していたところ、なんと別の初発乳がんが見つかります。1回目は左側でしたが、今度は右側で、サブタイプも1回目とはまったく違う新しいがんでした。幸い早期発見だったため、手術と放射線治療のみで治療は終了しました。これが2018年、43歳のときです。そして今、あれから6年が経ち、元気に過ごしております。
早期発見の話では、1回目のときのお話が参考になると思います。
ある冬の夜、虫刺されのような痒みがあって、胸の上あたりを触ったとき、しこりを見つけてしまいました。嫌な予感がしたので、その翌日出社するとすぐ有給申請をし、その翌日に川越駅近くの赤心堂病院に行きました。つまり、しこりを見つけてから2日後には診察したのですね。看護師さんからは「そんなに早く病院に来る人は珍しい」と言われました。「もしがんだったらどうしよう…」と怖くなり、数週間、数か月悩んでから来るという人が多いようです。私はすぐに行動できたのですが、今振り返ると、あの素早さが良かったと思っています。幸いリンパ節への転移もなく、早期発見ということでした。
次に、がん経験で辛かったお話をさせていただきます。私は治療自体の辛さ以上に、治療が終わった後の孤独感や不安がありました。このことを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思っています。治療中は、周りからも「辛いだろうな」と分かってもらえるし、看護師さんに副作用のことを相談したり、吐き気があっても食べられる食事を調べたりと忙しくしていられます。でも、治療が終わると急に何もなくなり、周囲からも「治療が終わってよかったね」と言われるんです。見た目は髪が伸びてきて、元気な姿に戻っているのですが、「再発するかも」という不安に苛まれる日々が続きました。私の場合、トリプルネガティブのため、なおさらだったと思います。周りからの「治療が終わってよかったね」という声と、自分自身の中にある不安感とに、ものすごくギャップがあり、とても辛い思いをしていました。この辛さの事は、あまり知られていなくて、たまに専門書や、医師の談話として見かける程度なのですが、サバイバーなら共感していただけるのでは、と思います。
この時期の支えになったのは、同じ経験を持つサバイバー仲間の存在です。治療終半年くらいから、サバイバーの集まりに参加するようになりました。
その中で「QUE!」という、マギーズ東京を立ち上げた鈴木美穂さんが運営していた活動に出会いました。美穂さんが20代だったということもあり、20代30代の働く女性の参加が多かったように思います。ここで出会った仲間はアクティブな人が多く、海でのアウトリガーカヌー、イチゴ狩りなど、楽しい時間を過ごしました。今でも定期的に交流していて、先日も仲間の7人で食事をしたばかりです。
がんは辛い体験ですが、いい意味で価値観が変わる経験でもあって、だから、がんになる前の状態に戻ろうという思考ではなく、新しい自分になろうと思うようになりました。
キャリアコンサルタントとして、「治療と仕事の両立支援活動」にも参加するなど、がんになってからのほうが、積極的になりました。
もし、いま、治療後の孤独を感じている人がいましたら、ぜひサバイバーの集まりに参加してみてください。
ここで、私の話は以上とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。