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2024年10月30日水曜日

リレー・フォー・ライフ・ジャパン川越での「サバイバーズトーク」について

前年のフラッグをもって、サバイバー仲間とともにウォーク

 9月28日・29日に行われた「リレー・フォー・ライフ川越」に、実行委員として、サバイバーとして参加いたしました。初めてだったので、みなさんのサポートが少しでもできたら、という気持ちでの参加でした。
このイベントは、 「がん患者さんやそのご家族を支援し、地域全体でがんと向き合い、がん征圧を目指す、1年を通じて取り組むチャリティ活動」。そして1年に1度、夜通し歩くことで、夜不安な思いをしているサバイバーに寄り添うというイベントです。

前日の27日夜にも集合して打ち合わせ&準備。

28日は朝から準備を開始。
私は13時サバイバーズトークの登壇、22時からの受付。

夜越えは参加しませんでしたが、翌朝7時からウォークへ。

正直言って、大変でしたが、川越の皆様と一緒に大きなイベントを実施でき、その一員になれたことがとても嬉しく、誇らしく感じました。

実行委員、サポーターのみなさま

サバイバーズトークで話したこと

せっかくなので、ここに原稿の全文を載せます。
依頼されていた内容は、「早期発見と治療中つらかったこと」です。

*****

こんにちは。阿部と申します。
私の体験がどなたかのお役に立てればと思ってお話させていただきます。

まず、サバイバー歴についてですが、2012年と2018年、2回乳がんに罹患しました。最初はちょうど36歳の誕生日を迎えたばかりのときで、診断されたのは「トリプルネガティブ乳がん」というタイプでした。ホルモン療法や分子標的薬が効かず、再発率も高いとされる悪性度の高いがんということで、手術、抗がん剤治療、放射線治療を受けました。

医師からは「トリプルネガティブは悪性度が高いが、5年経てば再発率が急激に下がる」と聞かされていたので、その5年間は検診のたびにドキドキして結果を待っていました。その5年を無事に乗り越え、6年目検診では少し安心していたところ、なんと別の初発乳がんが見つかります。1回目は左側でしたが、今度は右側で、サブタイプも1回目とはまったく違う新しいがんでした。幸い早期発見だったため、手術と放射線治療のみで治療は終了しました。これが2018年、43歳のときです。そして今、あれから6年が経ち、元気に過ごしております。

早期発見の話では、1回目のときのお話が参考になると思います。
ある冬の夜、虫刺されのような痒みがあって、胸の上あたりを触ったとき、しこりを見つけてしまいました。嫌な予感がしたので、その翌日出社するとすぐ有給申請をし、その翌日に川越駅近くの赤心堂病院に行きました。つまり、しこりを見つけてから2日後には診察したのですね。看護師さんからは「そんなに早く病院に来る人は珍しい」と言われました。「もしがんだったらどうしよう…」と怖くなり、数週間、数か月悩んでから来るという人が多いようです。私はすぐに行動できたのですが、今振り返ると、あの素早さが良かったと思っています。幸いリンパ節への転移もなく、早期発見ということでした。

次に、がん経験で辛かったお話をさせていただきます。私は治療自体の辛さ以上に、治療が終わった後の孤独感や不安がありました。このことを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思っています。治療中は、周りからも「辛いだろうな」と分かってもらえるし、看護師さんに副作用のことを相談したり、吐き気があっても食べられる食事を調べたりと忙しくしていられます。でも、治療が終わると急に何もなくなり、周囲からも「治療が終わってよかったね」と言われるんです。見た目は髪が伸びてきて、元気な姿に戻っているのですが、「再発するかも」という不安に苛まれる日々が続きました。私の場合、トリプルネガティブのため、なおさらだったと思います。周りからの「治療が終わってよかったね」という声と、自分自身の中にある不安感とに、ものすごくギャップがあり、とても辛い思いをしていました。この辛さの事は、あまり知られていなくて、たまに専門書や、医師の談話として見かける程度なのですが、サバイバーなら共感していただけるのでは、と思います。

この時期の支えになったのは、同じ経験を持つサバイバー仲間の存在です。治療終半年くらいから、サバイバーの集まりに参加するようになりました。
その中で「QUE!」という、マギーズ東京を立ち上げた鈴木美穂さんが運営していた活動に出会いました。美穂さんが20代だったということもあり、20代30代の働く女性の参加が多かったように思います。ここで出会った仲間はアクティブな人が多く、海でのアウトリガーカヌー、イチゴ狩りなど、楽しい時間を過ごしました。今でも定期的に交流していて、先日も仲間の7人で食事をしたばかりです。

がんは辛い体験ですが、いい意味で価値観が変わる経験でもあって、だから、がんになる前の状態に戻ろうという思考ではなく、新しい自分になろうと思うようになりました。
キャリアコンサルタントとして、「治療と仕事の両立支援活動」にも参加するなど、がんになってからのほうが、積極的になりました。
もし、いま、治療後の孤独を感じている人がいましたら、ぜひサバイバーの集まりに参加してみてください。

ここで、私の話は以上とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。

2024年7月24日水曜日

9/28(土)リレー・フォー・ライフ・ジャパン川越の「サバイバーズトーク」に出演します

 リレー・フォー・ライフとは「がん患者さんやそのご家族を支援し、地域全体でがんと向き合い、がん征圧を目指す、1年を通じて取り組むチャリティ活動」。そして1年に1度、夜通し歩くイベントを実施していて、埼玉県川越市では9/28(土)、29(日)に開催します。

当日は様々なセミナーもあり、私はその中のひとつ「サバイバーズトーク」に出演することとなりました。


【サバイバーズトーク概要】

  • 日にち:2024年9月28日(土)
  • 時間 :13:00~13:50
  • 会場 :埼玉県川越市の「蓮馨寺」
  • 内容 :がんサバイバー、ケアギバーとの対談

会場となる「蓮馨寺」は、蔵造り通りに行く途中にあるので、観光がてら気軽に立ち寄ることができます。

また、川越七福神巡りの福禄寿(ふくろくじゅ)が祀られていて、健康を願う場所としても有名。福禄寿というのは、「人々に幸せをもたらし、財を築き、健康で長生きするという三徳を具現化した神」だそうですよ。そんな素敵な場所で、お話しできることをとても光栄に思います。

当日のトークテーマは未定ですが、ケアギバーや医師とのトークとなりますので、私も色んな視点からの話で気付きをもらえるのでは、と今から楽しみです。

夜の蓮馨寺


サバイバーとして語ることへの想い


2012年、2018年、2回の罹患経験をこのような場でお話することは、正直プレッシャー…。うまく話せるかな…とか、泣いてしまったらどうしよう…と不安もあるけれど、多くの人にがん罹患者を身近に感じてほしいなという想いで引き受けました。

がんに罹患した、もしくは、がんサバイバーであることを打ち明けると、「かわいそう」という目線に変わる人が多くいます。何の悪気もないだろうし、気遣ってくれての言葉だとは分かりますが、とても傷つきます。(そう思うサバイバーさんいますか?わたしだけ?)

急に切り離されたような、孤独感が生まれます。

サバイバーズトークなどで話すことで、サバイバーを身近に感じて欲しいし、自分事にして考えて欲しい。

押しつけがましいかもしれないけど、今孤独感を抱えているサバイバーがいたら、少し時間が経って話せるようになった私がその手助けをしたい。そんな想いでお話したいな。

9月28日になれば、おそらく猛暑も終わって、過ごしやすくなっているはず。

ぜひお越しくださいませ。そして気軽にお声がけいただけたら嬉しいです。多くの人の来場をお待ちしております!



2024年5月11日土曜日

「同じ経験をした仲間に出会える場所」の大切さ

がんに罹患した2012年から、私の生き方は変わりました。人との交流が、大切だと気がついたのです。

一人っ子で、スポーツは陸上、水泳、ゴルフなどの個人競技好き。団体行動が苦手。一人で考え事をするのが好きな人間でした。

それが36歳、がんに罹患して考えが一変。一人で乗り越えるには限界がある。仲間を得ることで、生きる力・希望を持つことができました。

キャンサーサバイバー仲間との出会い


「がんになった」というと、可哀想…という同情を寄せられることもあります。でも、同情はもっと辛いのです。がんになっても、昨日の私と、今日の私とでは何も変わらないのに、急に見られ方が変わり、戸惑いがありました。

そんな気持ちを共有できる仲間がいるのは、精神的な安定に繋がります。

11年前の2013年。
手術、抗がん剤治療、放射線治療のすべてを終えてから約半年経った頃、まだウィッグをつけていた頃のこと。

家族や友人は「治療を終えてよかったね…」という感じですが、私は心にぽっかり穴が開いたような感じがしていました。価値観が変わり、人生観も変化していたのに、周りは「もとに戻れるといいね」という声をかけてきます。私自身、「これがしたい」という明確なものはないけれど、なんか違う…という違和感を抱いていました。

そんな、ふわっとしたモヤモヤを話せる場が欲しいと思っていた矢先、「Cue!」というがんになった女性向けワークショップをブログで見つけ、モデルでがんサバイバーのマイコさんのウォーキングレッスンに参加することにしました。

そのレッスンが楽しかったのはもちろんですが、レッスン後に車座になってお話する場が、とても心地よかったんです。

そして、そこから意気投合した仲間ができ、遊びに行くようになりました。

2016年のイチゴ狩りで

いまでもこの仲間とは定期的に会っています。
一緒に戦ってきた同志!戦友!話さなくても、気持ちが伝わる仲間。

私が「川越花冠」でやっていきたいことの原点は、ここにあります。

アーティフィシャルフラワーのギフト商品を販売したい、そして製作者としてキャンサーサバイバーを雇いたいという目標。ここには、「同じ経験をした仲間でに出会える場所」を作りたいという想いもあるのです。

私は、おそらく一人では乗り越えられなかったから。

仲間がいたから、今がある。それは大げさじゃなく、本当にそう思っています。

ちなみに、昨日もリレー・フォー・ライフ・ジャパン川越の実行委員に参加させていただきました。7月にはがんサロンにも参加予定です。地元・川越でも少しずつ活動に参加できればいいな。

そして「川越花冠」をうまく軌道に乗せられるよう、これからも頑張っていきます。